中学受験に必要な算数の基本テクニックを紹介しています。中学受験算数の独特な解法は、小学校では教わらない「裏技」的なものが多いので注意が必要です。
例題を使って、コツやポイントを押さえながら、なるべく丁寧な解説を心がけました。皆さまの理解の手助けとなれば嬉しいです。

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

 

旅人算の練習問題③ 応用編

旅人算の応用問題

こちらは、旅人算の応用問題を載せているページです。
旅人算の詳しい解説はこちら基本問題はこちら標準問題はこちらへどうぞ。

(応用問題1)最近お腹の辺りが気になり出してきた直美は、1周1800mのコースでウォーキングを始めました。 普段は、同じコースを逆周りにウォーキングをしている近所の田中さんと9分ごとにすれ違います。 ですが、今日は直美は気分を変えるためにいつもと逆周りに回ったら、45分おきに田中さんに追いぬかれました。 直美と田中さんの速さは、それぞれ分速何mでしょう。

直美の速さも、田中さんの速さも分かりません。これは困りました。ですが、速さの和や差は求められそうです。

①普段の場合
普段は直美と田中さんは逆周りに回っています。9分おきにすれ違いますので、9分でふたり合わせて1800m歩くことになります。1分当たりを求めると、

1800m÷9分=200m

つまり、1分間に歩くふたりの道のりの和は200mです。

②今日の場合
今日は直美と田中さんは同じ方向に回っています。直美は45分で周回遅れにされますので、45分間で田中さんの方が1800m多く歩いたことになります。1分当たりを求めると、

1800m÷45分=40m

つまり、1分間に歩くふたりの道のりの差は40mです。

③和と差が分かりましたね!
2つの数の和と差が両方分かっている時は、迷わず和差算を使いましょう
和差算の解説はこちらへ
さっそく線分図を書きます。

田中さんの線分図を求めると、

(200+40)÷2=120

なので、田中さんが1分間に歩く道のりは120m。直美が1分間に歩く道のりは、

120m-40m=80m

よって答えは

直美…分速80m
田中さん…分速120m

ポイント

1周の道のりが分かっていて、「同じ方向に回ると○分おきに追い抜かれる、逆向きに回ると□分おきにすれ違う」というタイプの問題は、いつもこの手順で求められます。

  1. 逆周りの状況から、ふたりが1分間に進む道のりの和を求める。
  2. 同じ方向に回る状況から、ふたりが1分間に進む道のりの差を求める。
  3. 和差算を使って、それぞれの速さを求める。
スポンサーリンク
(応用問題2)下のグラフは、匠海(たくみ)と大志(たいし)の2人が、同じ場所から同じ方向へ進む時の、時間と距離の関係を表したものです。


(1)匠海が大志に追いつくのは、匠海が出発してから何分後でしょう。また、それは出発地点から何mの地点でしょう。

(2)匠海と大志が進んだ道のりの和が890mになるのは、大志が出発してから何分何秒後でしょう。

(3)匠海と大志の間の道のりが12mになるのは、大志が出発してから何分何秒後でしょう。

(1)匠海が大志に追いつくのは、匠海が出発してから何分後でしょう。また、それは出発地点から何mの地点でしょう。

グラフを見て、2人のそれぞれの速さを求めましょう。 大志は1分間で60m、匠海は3分間で240m進んでいるのが分かります。

大志
60m÷1分=分速60m

匠海
240m÷3分=分速80m

2人は同じ方向に進んでいます
匠海が出発するまでに、大志はすでに2分歩いています。その間に歩いた道のりは、

分速60m×2分=120m

で、この時の2人の間の道のりは120mだと分かりました。、大志は1分間に60m、匠海は1分間に80m進むので、匠海が追いつくまでにかかる時間は、

120m÷(80m-60m)
=6

で、6分です。

6分間に匠海が歩いた道のりは、

分速80m×6分=480m

よって答えは

6分後、480m

(2)匠海と大志が進んだ道のりの和が890mになるのは、大志が出発してから何分何秒後でしょう。

匠海が出発するまでに、大志はすでに120m進んでいます。この部分を引いておくと、

890m-120m=770m

になるので、2人で合わせて770m進めばよいことが分かります。

大志は1分間に60m、匠海は1分間に80m進むので、合わせて770m進むのにかかる時間は、

770m÷(60m+80m)=5.5

5.5分、つまり5分30秒かかることが分かりました。大志が1人で進んだ2分もプラスして、

2分+5分30秒=7分30秒

よって答えは

7分30秒

(3)匠海と大志の間の道のりが12mになるのは、大志が出発してから何分何秒後でしょう。

2人の間の道のりが12mになるのは、3回あります。 ①匠海が出発する前と、②匠海が大志に追いつく前と、③匠海が大志を追いこした後です。

①匠海が出発する前
単純に、大志が12m進んだ時を考えましょう。

12m÷分速60m=0.2分

0.2分×60=12秒

よって12秒後

②匠海が大志に追いつく前
匠海が出発した時点で、2人の間の道のりは120mでした。2人の間が12mになる時を求めるので、あと、

120m-12m=108m

108m追いつかなければなりません。それにかかる時間は、

108m÷(80m-60m)=5.4

5.4分、つまり5分24秒です。大志が1人で歩いた2分もプラスして、

2分+5分24秒=7分24秒

よって、7分24秒後

③匠海が大志を追いこした後
匠海が大志に追いつくのは、大志が出発してから8分後です。その後、さらに12m引きはなします。
大志は1分間に60m、匠海は1分間に80m進むので、1分間で20mづつ引きはなしていくのが分かります。よって、12m引きはなすのにかかる時間は、

12m÷20m=0.6

0.6分、つまり36秒です。追いつくまでの8分もプラスして、

8分+36秒=8分36秒

よって、8分36秒後

よって答えは

12秒後、7分24秒後、8分36秒後

(応用問題3)下のグラフは、長野駅と今井駅を往復するバスの様子を表したものです。

一夫(かずお)は、朝8時のバスと同時に長野駅を出発して、時速3kmの速さで今井駅まで歩きました。


(1)一夫は、今井駅に着くまでに何回バスとすれ違ったでしょう。

(2)一夫が2回目にバスとすれ違ったのは、何時何分でしょう。

(1)一夫は、今井駅に着くまでに何回バスとすれ違ったでしょう。

一夫のグラフを書き加えます。一夫の速さは時速3kmなので、今井駅に着くまでにかかる時間は、

9km÷時速3km=3時間

つまり、11時ぴったりに今井駅についたことになります。なので、8時ちょうどに長野駅の点と、11時ちょうどに今井駅の点を定規で結ぶと、

赤い線が一夫のグラフです。今井駅から長野駅に向かっているバスと、3回すれ違っているのが見えます。

よって答えは

3回

(2)一夫が2回目にバスとすれ違ったのは、何時何分でしょう。

先ほどのグラフの、2つ目の緑の点の時間を求めることになります。
まずは、バスの速さを求めておきましょう。バスは20分で9km進んでいるので、

20分=1時間
3

9km÷1時間=時速27km
3

次に、バスが今井駅を出発する9時30分の状況を考えてみましょう。バスは今井駅にいます。一夫は出発してから1時間30分歩いていますので、その間に歩いた道のりは、

時速3km×1.5時間=4.5km

状況を図にしておくと、

あとは旅人算の考え方で解きましょう。

4.5km÷(27km+3km)
=4.5÷30
=0.15

0.15時間=0.15×60分
=9分

よって答えは

9時39分

ポイント

旅人算でグラフが出てきたら

  1. 問題が、文章で説明してあるか、グラフで説明してあるかの違いしかありません。
  2. グラフの点を2つ読み取れれば、速さを求められます。
電子書籍化!

中学受験のための算数塾が電子書籍になりました!
『基礎からの速さ完全マスター 中学受験のための算数塾』

「速さの問題が苦手だな」と思ってしまっている人のために、20年以上塾で教えてきた著者が、「速さって何だろう?」という根本から丁寧に解説をします。

スポンサーリンク

保護者向けの人気記事

塾講師・先生向けの人気記事

  • <<旅人算の練習問題②  時計算の練習問題①>>
  • 旅人算の詳しい解説へ
  • 次の講座・時計算の詳しい解説へ
  • 目次へ
  • 中学受験のための算数塾TOPページへ
  •